このエントリーをはてなブックマークに追加

I/P変換

I/P変換とは、インターレース(Interlace)映像信号をプログレッシブ(Progressive)映像信号に変換することを言います。

インターレースとプログレッシブはともに走査線の方式のことをいうのですが、その前に基本となる「走査線」について説明をしておきたいと思います。

ディスプレイに動画を表示する場合は、パラパラマンガのように少しずつ内容の違う静止画を連続して映しています。 この際、動画の1コマ(1フレーム)は縦方向に細かく分割され、1本の横糸のようなラインを画面の上から下まで順次なぞることで描画を行っています。 ディスプレイデバイスでは、映像を構成するこの分割された1本のラインを「走査線」と読んでいます。

従来からのアナログテレビ放送が採用するNTSC方式におけるSD映像は1フレームの走査線が525本(有効走査線数約480本)、 デジタル放送のHD映像は走査線が1125本(有効走査線数1080本)。いい方を変えると、SD映像は1フレームを縦方向に525分割、HD映像は1125分割して映していることになります。 当然、走査線が多いHD映像のほうが、映像をより細かく表現できことになります。

インターレース方式

インターレース方式では通常、映像1フレームの走査線を2つのフィールドに分けて伝送する。 この際、1、3、5……と奇数番号の走査線を伝送するフィールドは「奇数フィールド」、0、2、4……と偶数番号の走査線を伝送するフィールドは「偶数フィールド」と一般に呼ばれています。

奇数フィールドと偶数フィールドは交互に伝送され、ディスプレイ機器でも奇数/偶数フィールドが交互に表示される。 つまり、奇数/偶数フィールドの1組で動画の1フレームを描き出しているのだ。NTSCにおけるフィールド伝送速度は「1/60秒」となっており、1秒間に60フィールド(30フレーム)の 静止画が目にも止まらぬ速さで書き替えられることで、人間の目には映像が動いているように見えるのです。

プログレッシブ方式

対するプログレッシブ方式では、1本目の走査線から最後の走査線まで、上から下まで順番に伝送描画する。 インターレース方式と違って、1フレームを2枚のフィールドに分割することなく、一度に表示できるのが特徴になります。

ただし、インターレース方式に比べて、伝送により多くの帯域を必要とし、 特にテレビ放送を中心とする家電分野では従来のNTSCとの互換性確保などの問題もあり、プログレッシブ方式は長い間採用されてこなかった (現在のBSデジタル放送やCSデジタル放送ではプログレッシブ方式も採用されている)。

なぜI/P変換が必要なのか?

現在販売されているAV入力対応の液晶ディスプレイや液晶テレビは、プログレッシブ方式で映像コンテンツを表示する仕様になっています。 しかし、アナログテレビ放送やDVD-Videoの480i信号、地上デジタル放送の1080i信号など、映像コンテンツの多くはインターレース方式で情報を伝送するため、 インターレースをプログレッシブに変換して出力することが必要になってきます。

そこで必要になってくるのが、インターレース(Interlace)映像信号をプログレッシブ(Progressive)映像信号に変換するI/P変換となります。

I/P変換を実現する2つの手法

I/P変換には、大きく分けて2種類の手法がある。1つは「動き適応型」、もう1つは「2-3プルダウン型」。
両者ではI/P変換の仕組みがまったく違うが、どちらが優秀というわけではなく、表示する映像ソースに応じた使い分けが重要になってきます。

<「動き適応型」のI/P変換>
最も簡単なI/P変換の方法は、インターレース映像の奇数フィールドと偶数フィールドを合成し、 1コマの完全なフレームを作り出すことだ(フィールド間の補完)。これは静止画であれば、きれいにプログレッシブ化できるが、動画の場合は事情が違ってくる。

動画では奇数フィールドと偶数フィールドに動きのズレがあるため、単純に合成すると輪郭にジャギーやコーミングノイズ(くし形ノイズ)が発生してしまう。 奇数フィールドと偶数フィールドの時間差は1/60秒しかないが、動画を滑らかに再生することにおいてこの差は大きい。そこで、I/P変換する元ソースが動画の場合は、 奇数フィールド又は偶数フィールドを構成する走査線の情報を使い、上下の走査線から中間の走査線を生成することで、 1コマの高精細な描画よりもジャギーやコーミングノイズの低減を優先させる処理とする(フィールド内の補完)。こうした手法を動き適応型のI/P変換という。

<「2-3プルダウン型」のI/P変換>

2-3プルダウン型のI/P変換では、まず24fps映像の1フレーム目を「2フィールド」、2フレーム目を「3フィールド」、 3フレーム目を「2フィールド」、4フレーム目を「3フィールド」(以下、同じ処理が続く)と変換し、さらにフィールド間の補完処理を施してプログレッシブ化する。

原理的には非常に優れた方式だが、元の映像ソースが24fpsであるかどうかの検出が難しい。誤って30fpsの映像ソースを2-3プルダウン処理してしまうと、余分なフレームが追加されるため、 映像が瞬間的に止まって見えるといった弊害が生じてしまう。ただし、最近では24fpsと30fpsの検出精度もかなり高くなっている。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...